2009.06.09 Tuesday
石ころのうた
までのお話。
戦争という暗い時代にあって・・明るく生徒達と向き合う堀田綾子先生。
人間の楽しいところは都会とは限らない・・風光明媚な田舎にあって
綾子先生は愛する生徒達に囲まれて・・
時には厳しい教師でもあった。
敗戦は失ったものが大きかったに違いない。
綾子さんも「信じることを失った」と書いている。
何が真実で・・何を信ずべきか・・わからなくなったと・・
昨日まで教えていたことが間違いだったという・・国家や政治への
不信ばかりでなく人間への不信に繋がったのだ・・
真に恐るべきものが何かを知らぬ人間は真の人間にはなれないと・・
真理を尊ぶべきを教えるべきであったと・・
愛するとは何かを教えるべきだったと綾子さんは書いている。
戦争はいけないと教えるべきであったと・・・
思想弾圧の時代にあって・・それは難しいことで・・
誰も責めることは出来ない。
綾子さん・・昔のことを克明に書き綴っている・
記憶力の優れた人なのだといまさらながら尊敬してしまう。
心の綺麗な人で・・いつも真摯に向き合っていたその生き方に感銘を
受ける。
どんな石ころも歌うことが出来ると・・すべての石ころを押しつぶす
ブルトーザーのような権力の非情さを知ってほしいと・・
2009.05.14 Thursday
雪のアルバム
実はこの本を持参して自宅に11日から戻っておりました。
今回は14日から3泊4日・・しかも出がけに携帯をもたずに出て
この4日日間の不自由で不安な毎日・・友人達からメールや電話が
くると思うと気がきでなりませんでした〜
夫・・「いいじゃないか・・静かな時間を本でも読んでいたら・・」と・・
笑っておりました・・いかに普段から携帯に依存しているかがわかり
ます。友人達のアドレスを確実に覚えているわけじゃないし・・
13日はまた、同期会の打ち合わせでお友達mikityと・・
同期会の関係のメールもPCに来ていました・・・ありがとうございます。
さて・・この雪のアルバム・・一気に読みきりました。
私生児として生まれた清美・・
幼い頃に心ない友達の言葉に傷つき・・母を嫌い母を軽蔑していた彼女。
妬みと嫉妬に苛まれ章という少年に出会い屈折した彼女の心にひとすじ
の光りが・・
自分の心の悪魔的感情を信仰告白の中で・・
自分達の心の奥底にひそむ闇を照らし・・自分自身を知ることこそが信仰の
第1歩なのだと・・読みながら感じた・・
人間というものは毎日試されているようなもの・・
時に思いもよらぬ自分の姿をみることになったとしても・・
いかに生きるべきかを問う・・貴重な1作・・
今回は14日から3泊4日・・しかも出がけに携帯をもたずに出て
この4日日間の不自由で不安な毎日・・友人達からメールや電話が
くると思うと気がきでなりませんでした〜
夫・・「いいじゃないか・・静かな時間を本でも読んでいたら・・」と・・
笑っておりました・・いかに普段から携帯に依存しているかがわかり
ます。友人達のアドレスを確実に覚えているわけじゃないし・・
13日はまた、同期会の打ち合わせでお友達mikityと・・
同期会の関係のメールもPCに来ていました・・・ありがとうございます。
さて・・この雪のアルバム・・一気に読みきりました。
私生児として生まれた清美・・
幼い頃に心ない友達の言葉に傷つき・・母を嫌い母を軽蔑していた彼女。
妬みと嫉妬に苛まれ章という少年に出会い屈折した彼女の心にひとすじ
の光りが・・
自分の心の悪魔的感情を信仰告白の中で・・
自分達の心の奥底にひそむ闇を照らし・・自分自身を知ることこそが信仰の
第1歩なのだと・・読みながら感じた・・
人間というものは毎日試されているようなもの・・
時に思いもよらぬ自分の姿をみることになったとしても・・
いかに生きるべきかを問う・・貴重な1作・・
2009.04.30 Thursday
海嶺
天保3年10月11日、おりしも恐れていた疾雲に遭遇・・
荒れ狂う中黒潮に乗って東へと流されて次々と病魔に倒れていく中で・・
残った岩吉、音吉、久吉の3人。日本は当時鎖国のために造船技術が
優れているのにも関わらず、遠洋航海に耐えられる船を造ることさえ
許されなかった。そのためにこの頃は漂流者が特に多かったという。
1837年、鎖国下の日本から海外へと漂流した日本人を故郷に帰すため、
インガソル船長率いるモリソン号が小野浦にやって来た。しかし非情にも
日本はモリソン号に大砲を撃つ。結局・・故郷の地を踏むことが出来ず・・・
漂流民たちは、やむなく海外で生涯を過ごすこととなった。
帆柱のない宝順船で1年2ヶ月もの間、苦しい漂流に耐えられたのも・・
インディアンの奴隷となりアー・ダンクの鞭を忍ぶことが出来たのも・・
ひとえにただ・・日本の家族会いたい一心だったに違いない・・
マクラフリン博士という方の力添えにより助けられ、
その後、ロンドン、マカオなどで暮らし、数奇な運命に翻弄された彼ら。
結局、故郷の家族に再会することかなわず、異国にてその生涯を閉じた。
異国で流浪の民となり、キリスト教に出会い、通訳として外交交渉に
当たったものもいたがほとんどは志半ばで異国の地でなくなっている。
三浦綾子さんが描きたかったことは何か・・
それぞれに大海の底に沈む海嶺のごとく・・
彼らの見事に生きたその人生を称えているように思える。
2009.04.23 Thursday
「母」
三浦綾子さんの本の中でこの本ほど・・泣かされた本はありません。
世の中の母親であれば・・みな同じ気持ちでしょう〜
小林多喜二さんは・・
昭和8年2月20日に彼は警察の拷問で30才の尊い命を落しました。
人権抑圧と手段を選ばない思想統制の犠牲者となってしまったのです。
銀行勤めの傍ら、社会を変えたい・・貧しい人を救いたい一心で・・
「蟹工船」という本を世に送り出し・・
それと引き替えに・・短い一生を終えた多喜二さん・・
あの頃の日本はまさに暗黒時代、権力で言論の自由を奪われていました。
彼の小さな時の・・「自分の夢」
「うちの母さんの手はいつもひびがきれて、痛そうです。
着物も年がら年中おなじ着物です。僕は母さんに良い着物を着せて、
小樽の町中を人力車を乗せてあげたいやりたいです。これが僕の夢です。」
でも、おかあさんは「なんもいらないから・・生きていてほしかった。」
「私はこの子供達が大きくなったら布団の綿入れの打ち直しを
するのを夢みたの・・ねえ、あんたさん・・
わだしの願いは欲張りな夢だったべか・・」
「人は死んだら・・なかなか戻って来ないもんだね・・
多喜二は天国に入れてもらえただろうか・・
多喜二がなくなった東京に5年住んだんだ・・どこかで多喜二に会えるかも
しれないと思ってさ・・」と・・多喜二さんのお母さん・・
人の命をなんとも思わない・・そんな日本が昔に存在していたこと。
罪なきものを拷問にかけたこれは国の罪のなにものでもないはず・・・・
三浦綾子さんにはキリストと重なって思えたことでしょう。
世の中の母親であれば・・みな同じ気持ちでしょう〜
小林多喜二さんは・・
昭和8年2月20日に彼は警察の拷問で30才の尊い命を落しました。
人権抑圧と手段を選ばない思想統制の犠牲者となってしまったのです。
銀行勤めの傍ら、社会を変えたい・・貧しい人を救いたい一心で・・
「蟹工船」という本を世に送り出し・・
それと引き替えに・・短い一生を終えた多喜二さん・・
あの頃の日本はまさに暗黒時代、権力で言論の自由を奪われていました。
彼の小さな時の・・「自分の夢」
「うちの母さんの手はいつもひびがきれて、痛そうです。
着物も年がら年中おなじ着物です。僕は母さんに良い着物を着せて、
小樽の町中を人力車を乗せてあげたいやりたいです。これが僕の夢です。」
でも、おかあさんは「なんもいらないから・・生きていてほしかった。」
「私はこの子供達が大きくなったら布団の綿入れの打ち直しを
するのを夢みたの・・ねえ、あんたさん・・
わだしの願いは欲張りな夢だったべか・・」
「人は死んだら・・なかなか戻って来ないもんだね・・
多喜二は天国に入れてもらえただろうか・・
多喜二がなくなった東京に5年住んだんだ・・どこかで多喜二に会えるかも
しれないと思ってさ・・」と・・多喜二さんのお母さん・・
人の命をなんとも思わない・・そんな日本が昔に存在していたこと。
罪なきものを拷問にかけたこれは国の罪のなにものでもないはず・・・・
三浦綾子さんにはキリストと重なって思えたことでしょう。
2009.04.18 Saturday
細川ガラシャ夫人
細川ガラシャ夫人 (三浦綾子小説選集) (三浦綾子小説選集)
三浦 綾子,三浦 光世
明智光秀の娘に生まれ勇気と信仰の人生を送ったガラシャ夫人・・
彼女はどうして信仰の道を歩んだのか・・
様々の苦悩の日々の中で信仰することだけが唯一の救いだったのか・・
光秀暗殺により・・幽閉された生活をよぎなくされながら・・・
玉子がキリシタンを信仰、受礼しキリシタンとなったのは??
自ら神に導かれるように・・天意のままに・・
夫、細川忠興の妻として石田光成の人質になることを拒絶し・・
細川忠興の妻として孤高の死を遂げた。
家のために・・夫のために・・と思えば女にとって厳しい時代であった。
この時代に生まれしものの宿命のように・・
絶世の美女とたたえられた彼女・・
「散るべき時を知りてこそ・・世の中の 花も花なれ 人も人なれ」・・
三浦綾子さんはこの本を書きながら・・「緋文字」を思い出したとか。
スカーレット・レター・・DVDで以前に観たことあった・・
過酷な罪を背負って生きる・・彼女・・
どれも重く・・心に残る作品となった・・
2009.03.25 Wednesday
広き迷路
広き迷路 (新潮文庫)
三浦 綾子
古本屋で88円だったこの本・・
広き迷路・・まさに迷路に迷い込んでしまった主人公・・
なんと正当派サスペンス・・三浦マジックに脱帽でした〜
罪と罰・・恐怖で微妙に揺れる心理状態が・・彼を追いつめる・・
完璧な犯罪なんてありえない・・・嘘や虚栄も悪徳も・・
絶望の中で彼女にとって・・彼との愛そのものが迷路の入り口だったのか・・
本音のままに生きることこそ・・広き迷路なのだと・・
新約聖書には狭き門からはいれ。滅びたる門は大きく、その道は広いと・・
人はみな・・多かれすくなかれ・・嘘や虚栄にまみれている。
そんな時代を背景にかかれたこの本・・
三浦綾子さんも長い闘病の中で狭き門を探していたのかもしれない。
今も昔も・・ 人の迷いは尽きない・・
せめて・・迷わずに狭き門にたどり着きたいと思う。
2009.01.05 Monday
青い棘
青い棘 (講談社文庫)
三浦 綾子
この家族の心の葛藤を通して・・
人間関係の心にひそむ棘・・平和な日常の
現代人への心のあやうさへの警告でもあるように・・
人間が人間として一番に求めなければならないものはお金ではなく
名声でもなく・・地位でもない・・
人間が人間らしく生きるということが大切であると・・
また、親子にしても夫婦にしても恋人であっても・・
常に危機を孕んでいるわけで・・
決裂の危機を秘めていない人間関係はないと・・
人間の愛ほどもろいものはないのかもしれない・・
人間はお互いに信頼しながら生きているようでつまりはいつも
疑いの中で生きていることになる・・
人と人の信頼関係の脆弱さを思うと・・
危うい感情をどう保てるか・・
お互いの気遣いであったりするのかもしれない。
康郎は・・富久江に「人間は誰しも底意地の悪いものだ・・
外に出さなくても棘を含んで生きているものだ・・」と・・
あらためて過去も未来も・・人間が人間らしく生きるとは・・
1年のはじまりに考えさせられた1作でした。
2008.12.18 Thursday
続泥流地帯
泥流地帯 (続) (新潮文庫)
三浦 綾子
時は1926年の十勝岳大爆発により凄まじい山津波が起こり・・
多くの人々が流され・・泥流は田畑も家も飲み込んでしまった。
そこはあっという間に死の世界となり彼らの生活もいっぺんする。
「正しい行いをしてきたものがなんでこんな報いをうけなければ
なんねえのか・・」耕作はつぶやく。
「まじめなものがなぜこんな目にあって死ぬんだ・・」
拓一は「生き返ってもまじめに暮らそうと思うつもりだぞ」
辛く苦しく切ない。神様が大切なことを教えてくれるこれも試練
といい気かせ・・「母ちゃんをうんと大事にするべな」
人生に苦難とどのように向きあって行くのか・・・
苦難の時こそ試されているようなきがする。
泥流地帯の舞台はあのラベンダーで有名な富良野・・
続泥流地帯・・彼らの苦難の時代のはじまりだった。
田畑を復興させるべく立ち上がった町長はみんなから避難を受ける。
復興災害義捐金などを羨む人々は村長のことを泥棒村長と・・
泥流の田畑から這い上がり頑張る拓一達・・
この泥流で祖父と祖母、姉と妹を失いながら母と耕作と拓一・・
そして福子と節子・・ともに愛する人を思いつつ・・
泥流の中からやっと稲穂が育つ時・・
福子と節子もまた新しい旅立ちを向かえる。
僕は祖父達が30年かかって耕してきたこの土地で命をかけて
頑張るのだ・・と・・・
今から80年前にこのように泥の中から立ち上がった人々がいた。
丹精こめた田畑は30年・・100年と人々に実りをもたらす。
諦めない・・「命をかけて」・・
困難こそ人を強くさせるものなのだと思う・・
2008.12.15 Monday
塩狩峠
塩狩峠 (新潮文庫)
三浦 綾子
1909年2月28日に悲劇は起こった。
「人間には命をかけて守らなければならないことあるのだよ。」
と言った彼の父の言葉を実践するかのように。
愛のためなら自分の大切なものを投げ出すことができると
いうキリストの教えのままに彼は29才で旅立った。
小さな時から感受性が豊かで・・祖母と父の突然の死により
いつか死ぬということを意識していた。
その日彼は自分の結納の日だった。
この日乗り合わせた列車の最後尾の列車の連結部分がはずれて
彼はとっさにサイドブレーキがあること思いつき渾身の力で
ハンドルを握った、しかし、みるまに急勾配は迫ってきて
列車の転覆は時間の問題だった。彼は自分の体で列車を止める
ことをとっさに判断その体は線路めがけ飛び降りたのだった。
塩狩の峠の急勾配の頂上での一瞬の出来事・・
人が人(友)のために自分の命を捨てること・・
それより大きな愛があるだろうか・・
かくキリストもまたこの世のすべての罪を背負って十字架に
かけられたことを思うと・・
まさにこれこそが神の姿のようにさえ思えてならない。
思えば彼は・・小さい時からキリスト教には懐疑的だった。
しかし、ある時からキリスト教にめざめた彼。
彼の死が多くの人を救ったことはいうまでもなく今なお
語り継がれている。
彼、長野政雄さんの実話をもとに・・
三浦綾子さんの「塩狩峠」が刊行された。是非一読を・・
来年2009年2月28日は彼の100周忌になります。
合掌
2008.12.13 Saturday
ひつじが丘
ひつじが丘・泥流地帯 (三浦綾子小説選集)
三浦 綾子,三浦 光世
お友達の薦めもあって・・読みはじめました。
時代は昭和24年この時代の札幌と函館の街が綺麗に描かれています。
出てくる人も美しい人ばかり・・ひときわ美しい転校生の奈緒実・・
京子、耀子の3人が絡み合って皮肉にも運命に翻弄されてしまう。
思えばこの出会いが悲しい結末を招いてしまう。
人を理解するために自分自身を先ず正しく理解しなければならない。
自分を知ることが人を愛するはじめだと・・
私は自分のことをどれだけ知っているだろう・・とふと思う。
愛するということは相手をいかすこと・・ゆるすことだと。
根本的に好きと愛するとは違うことなのだと・・
氷点も好きな作品のひとつですが・・それを上回るほど素晴らしい作品。
奈緒実の心の揺れに涙を流す私・・
彼女はきっと強く逞しく美しい心を失わないと確信している。
クリスチャンらしい三浦綾子の作品・・
みんな過ちを侵すものだと・・完全な人間なんていないのだと・
人生とは選択であるけれど・・日々刻々選択をせめられているのが
人生であると・・
迷える子羊(ストレイシープ)は人間そのものを写しているよう
に思えてならない。
迷いながら・・失敗をしながら・・反省と後悔を繰り返し・・
成長していくのだ・・
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